今回紹介する本は『帝国ホテル建築物語』です。
この本は、2019年にPHP研究所から出版された植松三十里さんの作品です。
植松さんは、2009年第28回新田次郎文学賞を受賞するなど歴史を題材にした作品が多い女性作家です。
本のあらすじや感想についてまとめてみました。
帝国ホテル建築物語のあらすじ
大正12年に建てられた帝国ホテル(通称ライト館)は、老朽化を理由に取り壊しが決まり、歴史的な建物であることから、愛知県の明治村へ移築する計画が持ち上がり、ライト館建設がどのように行われたかを振り返る物語です。
このライト館は、アメリカを代表する建築家であるフランク・ロイド・ライトによって手掛けられたことから、この名で親しまれました。しかし、このライト館が完成するまでには幾多もの困難が立ちはだかり、遅々として進みません。
また、フランク・ロイド・ライトはこだわりが強く、建設に携わる人たちとの摩擦が絶えません。他にも資金の調達や地盤の弱さなど、帝国ホテル建設には様々な課題が山積しています。
「日本の未来を象徴する建物にしよう」という一つの目標を掲げ、建築に架けた男たち闘いが始まります。
帝国ホテル建築物語から学んだ不屈の精神について
どんなに多くの困難があっても、決して諦めることはなく、妥協を許さず、信念を曲げないフランク・ロイド・ライトは、周囲と対立することが多かったようです。
しかし、良いものを造り上げるという建築家としての矜持が100年以上もの時を経て、人々の心に残る建築物になって行きました。周囲と調和することも時には大切だと思いますが、ライトが妥協をしていたらこんなに素晴らしい建物が残ることはなかったと思います。
そのことから、良いと思ったことは、周囲を説得できる自信と強さ持って、物事を進めていくことを学びました。
帝国ホテル建築物語から考える温故知新
人を説得できるだけの自信と強さが私にはありません。諦めることも多々あり、妥協だらけの人生を歩んできました。この本を読んで、妥協しない人がどれくらいいるのかなと考えました。
以前の日本は、何事にも本気で真剣に取り組み、妥協を許さない民族だったのではないかと気づきました。
現在は妥協だらけの世の中となってしまいましたが、私は古き良き時代の日本人の心と一緒にフランク・ロイド・ライトの成し遂げたことを心に刻み、前進していきたいと思います。
帝国ホテル建築物語の感想
大正モダンといわれた華やかな時代に建てられた建築物は、どれも素晴らしく魅力的なものが多いです。帝国ホテルは世界一美しいと言われた建物で、世界各国の要人をも魅了しました。
そんな建築物が日本にあることが、とてもうれしく誇らしく思いました。
また、
日本は地震が多く、帝国ホテルも関東大震災という未曾有の災害を目の当たりにしますが、フランク・ロイド・ライトが設計した建築方法ではびくともしなかったことも、素晴らしいと思いました。
ホテルの見取り図がほしい理由とは?
物語としては大変興味深く楽しく読むことが出来ましたので、内容でイマイチだったところはありません。
しかし私は帝国ホテルに行ったことがなく、読み始めた時はイメージがつかみにくかったです。見取り図なども差し込まれていたらもっと良かったのかなと思います。
もちろん現在は、インターネットで映像など簡単に見ることはできますが、できれば当時の写真なども添付されていれば、もっと物語を楽しく読むことが出来たのかなと思います。