「♪タケモットピア~ノ~」のフレーズでおなじみの、タケモトピアノのテレビCM。関西エリアを中心に長年愛されてきたこのCMは、”赤ちゃんが泣き止むCM”としても一躍話題となり、今では全国的な認知度を誇っています。
2024年には「AI篇」として待望の新作も登場し、再び注目を集めています。本記事では、タケモトピアノのCMの歴史、制作の裏側、新CMに込められた想いなどを、徹底的に解説します。
タケモトピアノとは?中古ピアノの買取と再生で国内外に展開
タケモトピアノ株式会社は、大阪府堺市に本社を置く、ピアノの買取・販売・輸出を専門とする企業です。使われなくなったピアノを回収し、丁寧に修理・調整を行った上で、世界各国に輸出しています。
環境への配慮と音楽文化の継承を同時に叶えるその事業モデルは高く評価されており、特に東南アジア諸国など、ピアノを手にする機会が少ない地域への供給を通じて、音楽教育の裾野を広げています。
タケモトピアノCM視聴方法
2024年版CMは関西地域での地上波放映に加えて、タケモトピアノYouTubeから視聴可能です。音楽や映像、演出などの細部に込められたメッセージを、ぜひじっくりとご覧ください。
初代CMの女性ダンサーについて
1997年から放映が開始された初代CMでは、俳優の財津一郎さんと共に、4人の女性ダンサーが登場しました。彼女たちは、独特の衣装と振り付けで視聴者の注目を集めました。その中の一人、永津直子さんは、現在、京都のダンススクール「Y’s Dance College 京都」の代表を務めています。彼女は当時の撮影について、「財津さんはとても紳士的で、私たちダンサーに常に気を配ってくださった」と語っています。
振付は、香瑠鼓(かおるこ)さんが担当しました。彼女は、宇宙と交信するようなイメージで振付を考案し、財津さんの動きに合わせて手だけの振付に変更するなど、柔軟な対応を行いました。
最新CM「AI篇」の女性ダンサーについて
2024年に放映が開始された最新CM「タケモトピアノAI篇」では、AI技術と実写映像を融合させた4人のダンサーが登場します。彼女たちは、広大な自然の中で、新たにブランドのイメージキャラクターとして採用されたキリンと共に、コミカルなパフォーマンスを披露しています。
振付は、前CMでダンサーとして出演していた振付ユニット「振付稼業air:man」の菊口真由美さんが担当しました。彼女は、過去のCMとも繋がるようなダンスを意識しつつ、新しい技術を取り入れた振付を考案しました。
タケモトピアノのCMは、時代と共に進化しながらも、その本質的な魅力を保ち続けています。ダンサーたちのパフォーマンスは、視覚的なインパクトと共に、ブランドのメッセージを効果的に伝える重要な要素となっています。
赤ちゃんが泣き止むCM!?驚きの効果で話題に
タケモトピアノのCMが広く知られるようになったきっかけの一つが、「赤ちゃんが泣き止む」との口コミです。実際にこの現象はテレビや育児雑誌でも取り上げられ、科学的検証が行われたことも。
タケモトピアノのCMが赤ちゃんを泣き止ませると話題になった理由には、音楽的・心理的な要素が関係しています。まず、CMソングは行進曲風のリズムで構成されており、テンポが赤ちゃんの心拍数に近いことから、自然と安心感を与える効果があると考えられています。赤ちゃんは一定のリズムや規則的な音の繰り返しに反応しやすく、泣き止む要因になり得ます。
また、音域の面でも工夫が施されています。赤ちゃんは高音域の音に敏感な傾向があるため、CMに使われている明るく高めの女性の声や金管楽器のような音色が、赤ちゃんの興味を引きやすいのです。その結果、泣いていた赤ちゃんの注意が音に向き、泣き止む現象が起きやすくなります。
さらに、CM冒頭の「タケモットピア~ノ~」というインパクトあるフレーズは、赤ちゃんにちょっとした驚きを与えながらも、優しく親しみやすいトーンで表現されており、「驚き」と「安心」のバランスが絶妙です。こうした要素が偶然にも赤ちゃんの感性にマッチし、「泣き止むCM」として広く知られるようになりました。
作詞作曲者は誰?“あの”北川勝利さんとは別人!
CMの作詞を担当したのは、当時広告代理店に勤務していた北川勝利さん。後にタケモトピアノに転職し、現在は広報担当として活躍しています。
ちなみにこの北川勝利さんは、音楽ユニット「ROUND TABLE」の北川勝利さん(アニメ『ちょびっツ』の「Let Me Be With You」などで有名)とは同姓同名の別人です。この混同はSNSなどでも度々話題になっており、ROUND TABLEの北川さんご本人が「私じゃありません」と明言したこともあります。
作曲を手がけたのは谷本奈利紘(たにもと なりひろ)さん。CMソングとしてのキャッチーさ、耳に残るメロディを見事に作り上げた立役者です。
CM音楽の作曲者・谷本奈利紘さんとは?
タケモトピアノの印象的なCMソングを手がけたのが、作曲家の谷本奈利紘(たにもと なりひろ)さんです。谷本さんは企業CMの作曲家として知られ、京セラやチョーヤなど多くの企業音楽も制作。
彼の楽曲の特徴は、耳に残るシンプルかつリズミカルなメロディ。タケモトピアノのCMもその例に漏れず、わずか数秒で人の記憶に焼き付くような完成度を誇っています。
2024年、新CM「AI篇」がスタート!ロケ地はどこ?
2024年8月、長年続いたタケモトピアノCMに新たな風が吹き込まれました。その名も「タケモトピアノAI篇」。
この新作では、AIと実写を融合させた“ピアノの妖精”が登場。広大な自然の中で華麗に舞うパフォーマンスが印象的です。演出に関しては、故・財津一郎さんが長年築き上げたイメージを大切にしつつも、未来志向のビジュアル表現を採り入れ、ブランドの刷新を図っています。
CMの撮影地に選ばれたのは、長野県諏訪市にある「霧ヶ峰高原グライダー場」。標高約1,600mに広がる草原と空が一体化したような絶景が魅力で、ドローンによる空撮も行われた本作では、その広がりが最大限に活かされています。
なぜ霧ヶ峰グライダー場がロケ地に選ばれたのか?
霧ヶ峰高原は、風の流れが安定しており、日本有数のグライダー滑空場としても知られています。その象徴的な風景は、“自由に舞い上がるピアノの妖精”というコンセプトにぴったり。
また、自然との調和・調律といった音楽的なテーマを強調できる場所でもあり、CM全体の空気感を高める演出効果が期待されました。地元の今井建設や諏訪市グライダー協会、諏訪圏フィルムコミッションの協力も大きく、地域連携のもとで実現したプロジェクトです。
新イメージキャラクターは「キリン」!?
従来のCMに登場していた「猫」に代わり、2024年の新CMでは「キリン」がブランドキャラクターとして登場しました。この大胆な変更にも関心が集まっています。
🦒 キリン=「麒麟」:平和と幸せの象徴
タケモトピアノの公式サイトによると、キリンは中国の神話に登場する伝説上の動物「麒麟」と重ね合わせられています。麒麟は、良いことが起こる前触れとして現れ、平和や幸せをもたらす存在とされています。同社は「世界中の子どもたちに笑顔と音楽、平和を」というモットーを掲げており、その願いをキリンに託しています。
😊 子どもたちを笑顔にする存在として
タケモトピアノは、日本の高品質な中古ピアノを世界中の子どもたちに届けることで、音楽を通じて笑顔あふれる社会の実現を目指しています。キリンは子どもたちに人気のある動物の一つであり、その姿を見ると子どもたちは自然と笑顔になります。同社は、キリンのように子どもたちを笑顔にする存在でありたいと願っています。
🎨 社内カラーとの親和性
また、タケモトピアノの社内を見渡すと、黄色を基調としたデザインが多く見られます。これはキリンの体色と似ており、同社は「元々みんなキリン色でした(笑)」とユーモラスに表現しています。このような社内の雰囲気ともキリンは親和性が高いといえます。
これらの理由から、タケモトピアノは新CMにおいてキリンをイメージキャラクターとして採用しました。キリンは、同社の理念やブランドイメージを象徴する存在として、視覚的にも印象的な役割を果たしています。新CMでは、キリンとともに「ピアノの妖精」たちが広大な自然の中でパフォーマンスを繰り広げており、視聴者に新たな印象を与えています。
まとめ:CMを通して「音楽の未来」も感じられる企業
長年親しまれてきたタケモトピアノのCMは、単なる広告にとどまらず、視聴者の感情に働きかける力を持っています。
特に2024年の新CM「AI篇」は、視覚的にも音楽的にもこれまでの流れを引き継ぎつつ、新たな一歩を感じさせる作品となっています。企業の信念やクリエイティブの進化を、これからもCMを通じて感じ取っていけるのではないでしょうか。
今後も、タケモトピアノがどんな形で私たちの耳と心に響いてくるのか、注目していきたいですね。