NHK のダーウィンが来たでトウキョウトガリネズミが紹介されます。一度聞いたらすぐに覚えられるような名前ですね。ただこのトウキョウトガリネズミの名前ですが、奇妙な点がいくつかあります。
一つ目はこのトウキョウトガリネズミが東京には通常生存していないということです。言ってる意味がよくわからないかもしれませんが、実際にはこのトウキョウトガリネズミは生息地が北海道のみになっています。
何でまた北海道のみしか存在しないネズミの名前がトウキョウトガリネズミと名付けられたんでしょうか?
この記事ではトウキョウトガリネズミの名前の由来について調べてみました。そしてもう一つ意外な発見があります。実はこのトウキョウトガリネズミはネズミではないということです。どっちかと言うとモグラに近い仲間です。ただ北海道ではネズミのことをもぐらというような方言がありますので、尚更混乱しそうな感じです。
トウキョウトガリネズミの名前の由来
トウキョウトガリネズミの発見年
トウキョウトガリネズミが発見されたのは1903年です。
1903年といえば日本は明治36年になります。この年にはどんなことがあったんでしょうか?
日本では小学校令が改正されて国定の教科書制度が取り入れられました。また6月1日には日比谷公園が開園しています。9月12日には日本初の市電である大阪市電が開業。11月21日には記念すべき第1回の早慶戦が行われています。そして12月17日にはライト兄弟が人類初の動力飛行に成功をしています。
この年が1903年になります。
トウキョウトガリネズミの名前の由来
北海道にしかいないトウキョウトガリネズミがなぜ北海道の名前ではなく東京という名前がついているのかと言うと、意外な事実が判明しています。
名前の由来ですが発見者のホーカーさんが、捕らえた新種のネズミを標本にしましたが、その標本のラベルに「蝦夷」(Ezo)と書くべきところを江戸(Edo)と表記してしまったことが名前の由来となっていると解釈されています。江戸=東京という流れです。
日本語で「蝦夷」と「江戸」では、大きく違いますが、標本に書かれた文字はローマ字ですので、見た目はほとんど同じような表記となっています。 ちなみに、(Ezo)、(Edo)という感じです。やっぱり結構見た目が似ていますね。印刷であれば間違わないと思いますが手書きであれば間違えるような字体です。
…となればタイプ標本のラベルを見たくなるのが人情。元北大教授の阿部永博士は大英自然史博物館を訪れ1903年の標本を確認されています。標本は2つあり、「頭骨と毛皮」のラベルは「Inukawa, Yedo」、「頭骨の入っている瓶」には「Mukawa, Yedo」。Inとあるのは多分Mであり、おそらく北海道の鵡川…。
— 東京ズーネット[公式] (@TokyoZooNet_PR) April 18, 2018
他にはどのような説があるかと言いますと、「江戸の犬川で採取された」というような読み間違いが生じています。これはこの新種のネズミの採集地であった鵡川(Mukawa)が書かれた筆記体の文字を犬川(Inukawa)という筆記体の文字と錯誤したために生じたと解釈されています。
英語名では何と言うか?
Ezo least shrew です!
英語名ではしっかり蝦夷という名前がつけられています。
Ezo ・・蝦夷
least ・・最小の、もっとも小さい
shrew・・トガリネズミ
日本語に直訳すると「蝦夷の最も小さいトガリネズミ」となります。
トウキョウトガリネズミの発見者
R.Mcd.Hawker(ホーカー)
発見者のホーカーさんですが、どのような顔をされている方は画像が発見できませんでしたのでよく分かりませんが、結局この方が採集した標本を元にこのトウキョウトガリネズミという名前がつけられています。
非常にややこしい問題で、いわばミステリーの部類に入るかもしれません。一応現在ではその謎は解けたようにはなっていますが東京ズーネットの見解などを見ても、なかなか一筋縄ではいかないような内容となっています。
北海道のみで見られるのにトウキョウトガリネズミと呼ばれる理由、それはかつて採集した英国人がYedoと記録し、和名をつけた人が江戸すなわち東京と読み取ったから…と言われるのですが真相はよくわかりません。YezoかYeso(蝦夷)と書くつもりだったとも言われますが…#いきものウィーク #まめちしき pic.twitter.com/O48aRnELN1
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