玉ねぎが成長し、収穫期が近付くと、花茎が伸びる現象「とう立ち」が発生することがあります。この状態になると、栄養が種子へと移動し、球根の発育が阻害され、内部に硬い芯が形成されて味が落ちてしまいます。では、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?ここでは、とう立ちの原因とそれを防ぐ方法、さらに発生した場合の対応策をご説明します。
とう立ちが発生する理由とその対策方法
とう立ちが起こる主な理由は、過度に成長した苗が寒冷な環境にさらされたためです。
具体的には、植え付け時に苗が過大である、または植え付けが早すぎる場合、苗は急速に成長してしまいます。さらに、過剰な初期肥料、肥料の偏り、連続する高温の日々も苗を育ちすぎさせる要因となります。
とう立ちを防ぐには、低温期まで株を大きくしすぎないことがカギです。特に植え付け時期の遵守が重要で、時期を間違えると、とう立ち以外にも分球や球割れの問題が生じる可能性があります。
植え付ける苗の選定も重要です。太い茎の苗はとう立ちしやすく、逆に細すぎると地面に当たり枯れるリスクがあります。適切な茎の太さは約8mm前後が望ましいです。
肥料については、過剰に与えることも不足させることも避け、適量を保ちつつ適切な追肥のタイミングを守ることが大切です。
最後に、収穫が遅れるととう立ちが発生しやすくなります。玉ねぎの葉が大部分倒れたら、それが収穫のサインです。
とう立ちが発生した際の対応方法
玉ねぎでとう立ちが見られる場合、まだ小さい玉ねぎにはハサミで花茎を切除する方法が効果的です。もし玉ねぎが十分に成長していれば、そのまま収穫するのが良いでしょう。花茎の先端の部分は「ねぎぼうず」として、天ぷらにするなどして利用可能です。
収穫が遅れてとう立ちが進んでしまった玉ねぎは硬くなってしまうため、玉を食べる代わりに葉を利用することが推奨されます。
とう立ちに強い玉ねぎの品種について
玉ねぎは早生種、中生種、晩生種の各種類がありますが、成長期間が短い早生種は一般的に大きくなるのが難しく、そのためとう立ちのリスクが低いとされています。とう立ちを避けたい場合、以下の早生種の選択を考えてみてください。
玉ねぎの早生種の例
品種名 | 特徴 |
---|---|
アリオン | 耐病性に優れ、特に黒斑病に強い。成熟が早く、保存性良好。球形が均一で美しい。 |
貴錦 | 甘みが強く、肉質柔らかで生食に適している。成長速度が速い。 |
浜笑 | 甘みと辛みのバランスが良く、耐寒性があり冷涼地域での栽培に適している。市場評価が高い。 |
濱の宝 | 大玉で甘みが強く、辛味が少ない。ジューシーで食感が良く、保存性が高い。焼き玉ねぎなど加熱調理に適している。 |
浜育 | 生産者からの支持が高く、育てやすさと収穫後の品質安定が魅力。辛味が強めで加工用にも適している。耐病性に優れる。 |
ソニック | 成長が早く、病害に強い。小ぶりでシャキシャキした食感が特徴。サラダやピクルスに適している。 |
絹てまり | 柔らかく甘みが強い。生食推奨で、食感が優れ、見た目が美しい丸みを帯びた形が特徴。 |
まとめ
植え付け時期、苗の選択、肥料の管理を適切に行っていても、続く高温や温暖な冬などの気候変動が原因で玉ねぎのとう立ちが発生することがあります。
とう立ちが起きても、花茎を除去すれば、味が多少落ちるものの引き続き栽培が可能です。また、葉を利用するなどの方法もあるため、状況に応じて栽培や収穫の楽しみを見つけることができます。