7月は梅雨明けとともに気温が上昇し、選べる種類の野菜が限定されがちです。そこで今回は、この時期に適した種や苗の植え付けが可能な野菜を5つ厳選しました。これらはプランターでも育てやすい野菜たちなので、紹介するコツを押さえつつ、是非栽培に挑戦してみてください。
根深ネギ(白ネギ)の栽培ガイド
ネギには大きく二つのタイプがあります。一つは主に白い部分を利用する根深ネギ(白ネギとも呼ばれる)と、もう一つは細い葉部分も食用になる葉ネギです。根深ネギは、7月に苗を植え、白い茎を長く伸ばすために定期的に土を寄せていきます。種からの育成は手間がかかるため、特に初心者には苗から始める方法を推奨します。
土作りのコツ
根深ネギは酸性の土を避け、pH6.0〜6.5の弱酸性土壌を好みます。酸度計や試験紙を使用して土のpHを確認し、必要なら有機石灰を加えて調整します。pH調整は時間がかかるので、継続的にチェックしながら少しずつ行うことが大切です。
水はけの良い場所を選び、粘土質で水はけが悪い土の場合は、畝を高くして堆肥やもみ殻くん炭を混ぜることで排水性を改善します。
栄養豊富な土を好む根深ネギは、植え付け前に完熟堆肥をしっかりと施すことが重要です。過剰に施肥すると害虫が増える可能性があるため、程よい量を心がけ、後から追肥することも考慮しましょう。
植え付けガイド:長ネギの栽培方法
長ネギの栽培は期間が長引くため、苗を購入して始めることを推奨します。購入後は植える前に苗を水に浸しておくことが大切です。植え方は、写真に示すように溝を掘り、そこに苗を10〜15cm間隔で立てかけながら配置します。隣り合う苗はサイズが似ているものを選ぶと、均等に成長します。植えた後、苗が浅く覆われる程度に土をかけ、固めて固定しましょう。さらに、根元にはワラや枯れ草を敷き詰め、過乾燥を防ぎます。
土寄せと追肥
土寄せを月に一度行いながら追肥を施します。被覆された部分は白く柔らかくなりますので、これを繰り返して白い部分を増やしていきましょう。雑草が生えると成長が妨げられるため、定期的に除草することも重要です。
霜による味の向上
白い部分が充分に増えたら、いつでも収穫可能です。特に霜に当たると甘みが増すため、霜が降りた後の収穫が理想的です。大きく成長したものから順に根ごと引き抜いて収穫します。
プランターでの栽培
プランターでの栽培も可能ですが、白い部分を長く伸ばすためには深めのプランターが必要です。過湿を避けるため、日当たりが良く風通しの良い場所を選び、水やりは控えめにします。
つるありインゲン栽培のすすめ
インゲン豆にはつるのある種類とない種類がありますが、夏に種を蒔くならばつるありインゲンがおすすめです。ただし、この種類は土壌中のセンチュウを拡大することが知られているため、センチュウが問題となっている土地では慎重に扱う必要があります。
土作りのポイント
マメ科植物はやや栄養豊富な土を好むため、植える1カ月前には完熟した堆肥を施しておくと良いでしょう。つるありインゲンは酸性土壌を避け、pH6.0〜6.5の土壌が理想的です。酸性側に偏っている場合は有機石灰を使用して土のpHを調整してください。
種まきの技術
インゲンは種や苗から栽培可能です。種を蒔く場合は、株間を30センチに設定し、各地点に3粒ずつまいて、約1センチの深さで植えます。鳥が種を食べることがあるので、ネットや不織布で覆うと良いでしょう。本葉が2〜3枚出たら、間引きをして2本だけを残し育てます。
誘引と支柱の設置
つるありインゲンは、支柱を立ててネットで誘引することが必要です。つるが密集しすぎると風通しが悪くなり、害虫の発生の原因にもなりますので、早めにネットを利用してつるを広げてあげましょう。
早めの収穫が鍵
サヤが大きくなりすぎると実が硬くなり、株に負担がかかって寿命が短くなります。若いサヤをこまめに収穫することで、株が長持ちし、長期間の収穫が可能になります。
プランターでの栽培
つるありインゲンはプランターでも栽培できますが、ベランダなどでは風通しの問題が起こりがちです。グリーンカーテンのようにネットをしっかり張り、つるを広げて日光と風通しを確保することが大切です。
ホームタマネギの栽培法
ホームタマネギは、通常のタマネギとは異なり、乾燥させた小さいタマネギを直接植える方法で育てます。これにより、種や苗を使うよりも迅速かつ確実にタマネギを栽培できる利点があります。
土作りの要点
ホームタマネギは排水性の良い土壌を好むため、粘土質の場合は畝を高くしてください。土が過度に乾燥すると栄養吸収が悪くなるため、夏の強い日差しで土が早く乾燥することに注意が必要です。肥沃な土を好むので、植え付け前には完熟堆肥をしっかりと混ぜ込みます。
植え付け技術
10〜15センチ間隔で植え、タマネギが軽く覆われる程度に土をかけ、しっかりと水やりをします。乾燥が気になる場合は、植え付けは晴れた日の昼間を避け、マルチングを行うことで土の乾燥を防ぎます。
収穫のタイミング
タマネギの葉が枯れて倒れたら、収穫の準備が整います。晴れた日に収穫すると、タマネギはより長く保存が可能になります。
プランターでの栽培ポイント
プランターでもホームタマネギの栽培は可能です。ただし、特に夏はプランター内の土が乾燥しやすいため、水切れには特に注意が必要です。
スイスチャードの栽培方法(日本名:フダンソウ)
スイスチャードは、日本ではフダンソウとして知られており、夏の高温にも比較的強い葉物野菜です。他の葉物と比べて夏にも種をまくことができるので、夏の野菜作りには最適です。
土作りの重要ポイント
スイスチャードは中性から弱アルカリ性の土壌を好み、pH6.0〜7.0が理想的です。土が酸性側にある場合は有機石灰を加えてpHを調整します。また、排水性の良い土を好むため、土質が悪い場合は畝を高くし、完熟堆肥やもみ殻くん炭を混ぜて改良することが望ましいです。
種まきの技術
スイスチャードの種は比較的硬いため、発芽率を高めるためには種を一晩水に浸すと効果的です。種を約1センチの深さに筋まきし、初めは密集していますが、成長に合わせて15〜20センチの間隔に間引いていくのが良いでしょう。
収穫のコツ
葉が15〜20センチに成長したら、外側の葉から順にハサミで切り取って収穫します。大きな葉から取ることで、植物は内側の葉を成長させるため、定期的な収穫が可能です。高温期には葉が硬くなる前に早めに収穫することが重要です。
プランターでの栽培
プランターでもスイスチャードは簡単に栽培でき、春から秋にかけての栽培が可能です。異なる時期に種まきをすることで、長期間にわたって収穫を楽しむことができます。
コマツナの栽培ガイド
コマツナは主に秋と春に栽培される野菜ですが、耐暑性のある品種を選ぶことで夏の栽培も可能です。
土作りのコツ
コマツナはあまり肥沃でない土地でも育ちやすいですが、堆肥を使用する場合は、種まきの2〜3週間前に施しておくと良い効果があります。
種まきの方法
コマツナの種は1センチの深さで溝を掘り、1センチ間隔でまきます。夏の乾燥を防ぐため、種まき後は寒冷紗を使用して直射日光を避けると良いでしょう。本葉が2〜3枚生えたら、適切に間引きを行い、葉が重ならないようにします。間引きを怠ると病害虫のリスクが高まるため注意が必要です。
早めの収穫の推奨
気温が高い時期は葉が硬くなりがちなので、15〜20センチの大きさで成長したら根元から刈り取り、早めに収穫することが推奨されます。
プランターでの栽培
コマツナはプランター栽培にも適しており、年中種まきが可能です。特に夏はプランター内の風通しが悪くなりやすいため、早めに間引きを行って空気の流れを良くすることで、アブラムシなどの害虫を防ぐことができます。
夏季の土の乾燥対策
7月の中旬から下旬にかけては梅雨明けにより気温が上昇し、土の乾燥が進みやすくなる時期です。土の乾燥は、野菜の水分不足や栄養吸収の悪化だけでなく、土自体への損傷も招くため注意が必要です。マルチングを活用して土の乾燥を防ぐ方法として、ワラ、雑草、ビニールフィルムなどを使用しましょう。また、雨が少ない時には水やりが不可欠ですが、気温が高い時に行うと水がすぐ蒸発してしまいます。そのため、曇天の日や夕方に水をたっぷりと与えるのが効果的です。