スイカの人工授粉と実がつかない原因|雌花・雄花の見分け方を解説

スイカの苗につるや葉がたくさん伸びても、花が咲くだけで実がつかないことがあります。

小さな実ができたと思ったのに、数日後に黄色くなって落ちてしまい、「育て方が間違っているのでは?」と不安になる人も多いのではないでしょうか。

スイカには雄花と雌花があり、雄花の花粉が雌花のめしべに付くことで受粉します。

自然に集まるミツバチやハナアブが花粉を運ぶ場合もありますが、次のような条件では受粉がうまくいかないことがあります。

  • 雨が続いている
  • 朝晩の気温が低い
  • 真夏の気温が高すぎる
  • 花を訪れる昆虫が少ない
  • 日照時間が不足している

家庭菜園では、朝のうちに人工授粉を行うことで、着果する機会を増やせます。

また、人工授粉をした日を記録しておけば、収穫予定日を判断するときにも役立ちます。

この記事では、スイカの雄花と雌花の見分け方、人工授粉のやり方、受粉に適した時間、実がつかない原因、小さな実が落ちるときの対処方法を分かりやすく解説します。

スイカの人工授粉で大切なのは、「当日の朝に咲いた花を使うこと」「花粉が出ていることを確認すること」「朝8時頃までに作業すること」の3点です。

目次

スイカの人工授粉と着果のポイント一覧

最初に、人工授粉を成功させるための基本ポイントを確認しておきましょう。

確認するポイント目安・方法
人工授粉の時間晴れた日の朝8時頃まで
使用する雄花当日の朝に咲いた新鮮な花
雄花の見分け方花の付け根が細い
雌花の見分け方花の付け根に小さなスイカがある
花粉の確認方法おしべに触れて黄色い粉が付くか確認
受粉の方法雄花のおしべを雌花のめしべ全体へ軽く当てる
成功の判断受粉後3~7日ほどで実が大きくなる
失敗の兆候実が黄色や茶色になり、成長が止まる
受粉後の管理日付を札やスマートフォンへ記録する
水やりの注意花やめしべへ水をかけない

スイカに実がつく仕組み

スイカは、花が咲いただけでは果実が大きくなりません。

雄花から雌花へ花粉が移り、受粉が成立する必要があります。

まずは、雄花と雌花の役割や、実が育ち始めるまでの流れを確認しましょう。

雄花の花粉が雌花に付くと実が育ち始める

スイカは、一つの株に雄花と雌花の両方が咲く野菜です。

雄花には花粉を作る「おしべ」があり、雌花には花粉を受け取る「めしべ」があります。

雄花の花粉が雌花のめしべへ付着すると受粉が行われ、その後の条件が整えば、雌花の付け根にある小さなふくらみが果実として大きくなります。

畑では、ミツバチやハナアブなどの昆虫が雄花へ入り、体に付いた花粉を雌花まで運びます。

しかし、次のような場所では、花を訪れる昆虫が少ないことがあります。

  • 住宅地のベランダ
  • マンションやアパートの高層階
  • ビニールやネットで囲った栽培場所
  • 昆虫が少ない市街地
  • 雨や強風が続いている場所

梅雨の長雨や強風の日は、昆虫の動きも鈍くなります。

そのため、自然受粉だけに任せていると、雌花が咲いても実がつかないことがあります。

また、花粉はいつでも同じ状態ではありません。

低温や日照不足が続くと花粉の量が少なくなり、真夏の高温時には花粉の働きが弱くなる場合があります。

雨で花粉がぬれると、雌花へ付けても受粉しにくくなります。

確実に実をつけたい場合は、当日の朝に開いた雄花を使い、人の手で花粉を付ける人工授粉を行いましょう。

人工授粉をしても必ず着果するわけではありません。ただし、昆虫任せにするよりも受粉の機会を増やせます。

花が咲いてもすべてが実になるわけではない

スイカの株に咲く花の多くは雄花です。

雄花ばかり咲いているように見えても、すぐに異常だと判断する必要はありません。

株が若い時期には雄花が先に咲き、生育が進むと雌花が咲き始めることがあります。

また、雌花へ花粉が付いても、次の条件によっては着果しない場合があります。

着果に影響する条件起こりやすい問題
気温が低い花粉が出にくくなる
気温が高すぎる花粉の働きが低下する
日照不足花や株の生育が弱くなる
肥料が多いつるや葉ばかり伸びる
水分が多い根が弱りやすくなる
株が小さい果実を維持できない
葉数が少ない果実を育てる養分が不足する

受粉後の小さな実が数日間ほとんど大きくならず、黄色や茶色に変わって落ちる場合は、受粉が成立しなかった可能性があります。

一方、受粉がうまくいった雌花は、花びらがしおれた後も果実部分が緑色を保ち、数日で目に見えて大きくなります。

開花当日の大きさだけでは成功を判断しにくいため、受粉後3~7日ほど観察しましょう。

株がまだ小さいうちに付いた雌花は、受粉しても果実を支えるだけの葉数が足りず、自然に落ちることがあります。

株元に近すぎる位置の実も、果実より手前にある葉数が少なく、十分に育たない場合があります。

実が一つ落ちたからといって、すぐに肥料や水を増やすのは避けましょう。肥料過多や過湿が原因になっている可能性もあります。

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スイカの雄花と雌花の見分け方

人工授粉を行うには、雄花と雌花を正しく見分ける必要があります。

花の色や形はよく似ていますが、花の付け根を確認すると初心者でも簡単に判別できます。

比較項目雄花雌花
花の付け根細い丸くふくらんでいる
見た目細い花柄の先に花が咲く花の下に小さなスイカがある
花の中心花粉を作るおしべがある花粉を受け取るめしべがある
花の数比較的多い雄花より少ない
人工授粉での役割花粉を提供する花粉を受け取る

雄花は花の付け根が細い

雄花は、細い花柄の先に黄色い花が咲きます。

花のすぐ下に丸いふくらみはなく、つるから花までが細い棒のように見えるのが特徴です。

花の中心には、黄色い花粉が付いたおしべがあります。

雄花は雌花よりも数が多く、株が成長し始めた早い段階から咲くことがあります。

「花はたくさんあるのに実ができない」と感じる場合は、咲いている花の多くが雄花である可能性があります。

人工授粉では、当日の朝に開いた新鮮な雄花を使います。

次のような雄花は避けましょう。

  • 前日に咲いてしおれた花
  • 雨でぬれている花
  • 花粉がほとんど出ていない花
  • 花びらやおしべが傷んでいる花

雄花の中心へ軽く触れ、指先へ黄色い粉が付けば、花粉が出ていると判断できます。

雄花を摘み取るときは、持ち手として使えるように花柄を少し残してください。

花びらを後ろへ折り返すか、花びらを取り除くと、おしべを雌花の中心へ当てやすくなります。

一つの雄花で複数の雌花へ受粉させると、途中で花粉が少なくなる場合があります。

雄花に余裕がある場合は、雌花一つにつき新しい雄花を一つ使うと作業しやすくなります。

雌花は付け根に小さなスイカがある

雌花は、黄色い花のすぐ下に小さなスイカのような丸いふくらみがあります。

このふくらみは「子房」と呼ばれ、受粉が成立すると果実として大きくなります。

花が開く前から丸い形が見えるため、つるを観察すれば、翌日に開花しそうな雌花を前日のうちに見つけられます。

雄花と雌花を見分けるときは、花びらの形ではなく、必ず花の付け根を確認してください。

花の下が細ければ雄花、丸くふくらんでいれば雌花と覚えると簡単です。

雌花の中心には、花粉を受け取るめしべがあります。

めしべの先端は複数に分かれているため、一部分だけでなく、全体へ黄色い花粉が付くように人工授粉を行います。

開花前日の夕方には、花びらが黄色くふくらみ、翌朝に開きそうな雌花を確認できます。

前日のうちに場所を把握しておくと、翌朝に葉の間を探し回らずに済みます。

園芸用の札や洗濯ばさみなどを近くに付ける方法もありますが、つるや花柄を傷つけないように注意しましょう。

雌花の付け根には最初から小さな実があるため、すでに受粉しているように見えることがあります。

しかし、花が開いただけでは果実は大きくなりません。

自然に昆虫が訪れている場合でも、確実に育てたい雌花には人工授粉を行うと安心です。

スイカの人工授粉に適した時間

スイカの花は朝に開きます。

時間がたつにつれて、花粉やめしべの状態が変化するため、人工授粉はできるだけ早い時間に行うことが大切です。

晴れた日の朝8時頃までに行う

人工授粉は、雌花と雄花が開いた当日の朝に行います。

暑い時期は気温が上がる前の朝8時頃までを目安に作業しましょう。

雌花のめしべが受粉に適した状態でいられる時間は長くありません。

昼近くになると気温が上がり、雄花の花粉が乾燥したり、雌花の中心が傷んだりすることがあります。

特に真夏の強い日差しが当たる場所では、午前中でもできるだけ早い時間に作業してください。

天候・状態人工授粉の判断
晴れて花が乾いている人工授粉に適している
曇りで花粉が出ている人工授粉できる
朝露でぬれている少し乾くのを待つ
雨で花の中に水がある成功しにくい
前夜から低温が続いた花粉が出ているか確認
真夏の高温日朝のできるだけ早い時間に行う

朝露で花がぬれている場合は、花の表面が自然に乾くのを少し待ちます。

ただし、乾くのを待ちすぎて気温が上がらないよう注意してください。

花へ息を吹きかけたり、布で強く拭いたりすると、めしべを傷つける可能性があります。

曇りの日でも、花が開いて雄花から花粉が出ていれば人工授粉できます。

雄花のおしべに触れ、黄色い花粉が指へ付くか確かめてから使用しましょう。

仕事などで朝に作業できない場合でも、できる範囲で午前中の早い時間を選びます。

毎日株を観察し、翌朝に咲きそうな雌花を前日に確認しておくと、短時間で作業できます。

雨の日や高温の日は受粉しにくい

雨の日は雄花の花粉がぬれやすく、雌花へ付着しても受粉しにくくなります。

花の中に雨水がたまっている場合は、その日の人工授粉が成功しない可能性があります。

鉢植えやプランターで移動できる場合は、翌日に咲きそうな花を雨の当たらない軒下へ移しておく方法があります。

ただし、暗い場所へ長時間置くと日照不足になるため、雨がやんだら日当たりのよい場所へ戻しましょう。

露地栽培では、開花予定の花だけを小さな袋や覆いで保護する方法もあります。

ただし、密閉すると蒸れや高温の原因になるため、株全体を長時間覆わないよう注意してください。

低温が予想される場合は、前日の夕方にトンネルや不織布を使って保温する方法があります。

翌日に咲きそうな雄花を前日に採取し、室内で保管して翌朝に使う方法もありますが、乾燥や高温で花を傷めないよう注意が必要です。

真夏の高温も受粉を妨げます。

気温が上がると花粉の働きが低下しやすいため、できるだけ早朝に作業してください。

人工授粉後に雌花へ水をかけると、花粉が流れる可能性があります。

株元への水やりは受粉作業の前に済ませるか、花へかからないように行いましょう。

スイカの人工授粉のやり方

スイカの人工授粉には、特別な道具は必要ありません。

当日の朝に咲いた雄花を摘み、雌花の中心へ花粉を付けるだけです。

人工授粉の手順

手順作業内容
1当日の朝に咲いた雄花と雌花を探す
2雄花のおしべに花粉が出ているか確認する
3雄花を花柄から摘み取る
4雄花の花びらを後ろへ折るか取り除く
5おしべを雌花のめしべへ軽く当てる
6少し回しながら、めしべ全体へ花粉を付ける
7受粉した日付を札やスマートフォンへ記録する
8受粉後3~7日ほど果実の成長を観察する

当日咲いた雄花を雌花へ当てる

最初に、当日の朝に開いた雄花と雌花を探します。

雄花は花の下が細く、雌花は付け根に丸いふくらみがあります。

雄花の中心へ軽く触れ、黄色い花粉が出ていることを確認してください。

使用する雄花を花柄から摘み取り、花びらを後ろへ折り返すか、根元から取り除きます。

中心のおしべが見える状態になったら、雌花の中心にあるめしべへ軽く当てます。

めしべは複数に分かれているため、一方向から押し付けるだけでなく、雄花を少し回しながら全体へ花粉を付けましょう。

黄色い花粉がめしべの表面に見える程度で十分です。

強くこするとめしべが傷つくため、軽く触れるようにしてください。

同じ株の雄花を使って、同じ株の雌花へ人工授粉することもできます。

近くに別の株があり、開花時期が合う雄花が咲いていれば、その雄花を使うことも可能です。

作業後に雌花を袋で密閉する必要はありません。

花びらが閉じても、無理に開いて確認しないでください。

受粉後は果実部分を観察し、緑色を保ちながら大きくなるか確認します。

筆や綿棒を使用する方法もありますが、花粉が道具へ残ったり、湿気で付きにくくなったりすることがあります。

初心者は、雄花を直接使う方法が分かりやすいでしょう。

受粉日を札に書いてつるへ付ける

人工授粉を終えたら、受粉した年月日を記録します。

日付を書いた園芸用ラベル、荷札、ビニールテープなどを、果実の近くのつるへ付けておきましょう。

スイカは、受粉した日からの日数が収穫時期を判断する重要な目安になります。

スイカの種類受粉から収穫までの一般的な目安
小玉スイカ約35~40日
大玉スイカ約40~50日

ただし、収穫までの日数は品種や栽培時期、気温によって異なります。

苗のラベルや種袋に記載されている日数を優先してください。

札を付けるときは、つるへきつく巻かないようにします。

つるは成長とともに太くなるため、余裕を持って取り付けましょう。

果実の花柄へ直接結ぶと、実が大きくなったときに傷める可能性があります。

同じ日に複数の花へ人工授粉した場合は、それぞれに札を付けます。

スマートフォンで果実と日付を撮影し、メモとして残す方法も便利です。

つるが絡み合うと、どの札がどの果実を示しているのか分かりにくくなります。

写真と札を併用すると、管理しやすくなるでしょう。

人工授粉が成功したか見分ける方法

人工授粉を行った直後は、成功したかどうかを判断できません。

数日間、果実の色と大きさを観察し、成長しているか確認しましょう。

観察する部分受粉成功の可能性受粉失敗の可能性
果実の色緑色を保つ黄色や茶色になる
果実の大きさ数日で大きくなる大きさが変わらない
果実の表面張りがあるしわが寄る
花びらしおれても問題ない花びらだけでは判断できない
受粉後の経過3~7日で変化が出る成長せず落下する

成功すると数日で果実が大きくなる

人工授粉が成功すると、雌花の付け根にあった小さなふくらみが、数日で少しずつ大きくなります。

花びらはしおれて茶色くなりますが、果実部分は緑色を保ち、表面に張りがあります。

受粉から3日ほどでは変化が小さい場合もあります。

気温が低い日や曇りの日が続くと成長が遅れるため、すぐに失敗と判断せず、1週間ほど観察してください。

果実がピンポン玉ほどの大きさになり、その後も毎日大きくなっていれば、着果した可能性が高いでしょう。

果実が育ち始めた後は、つるを持ち上げたり、実の向きを頻繁に変えたりしないようにします。

果柄やつるが傷つくと、その後の生育に影響する可能性があります。

空中栽培では、実がまだ小さいうちに果実用ネットを付けると作業しやすくなります。

ただし、果実を締め付ける小さな網は避け、大きくなっても余裕があるものを使いましょう。

着果を確認したからといって、すぐに大量の肥料を与えるのは避けてください。

株の勢い、葉の色、品種の育て方を確認してから追肥します。

複数の果実が同時に育ち始めた場合は、株の大きさや品種に合わせて残す数を決めましょう。

小さな株に多くの実を残すと、一つひとつが十分に大きくならないことがあります。

失敗すると黄色くなって成長が止まる

受粉が成立しなかった雌花は、小さなスイカの形をしたまま成長が止まります。

数日すると果実部分の緑色が薄くなり、黄色や茶色へ変わり、やがてしおれて落ちます。

実が落ちる原因は、花粉が付かなかったことだけではありません。

  • 花粉が雨で流れた
  • 低温で花粉が出なかった
  • 高温で花粉の働きが低下した
  • 株が小さく果実を維持できなかった
  • 日照不足が続いた
  • 水切れや過湿が起きた
  • 肥料が多く、つるぼけしていた

一つの雌花が落ちても、株が元気であれば次の雌花が咲きます。

落ちた実を見つけたら取り除き、次に咲きそうな雌花を探しましょう。

原因を確認せずに肥料を追加すると、つるぼけを悪化させる場合があります。

果実が黒く変色したり、表面が水っぽく腐ったりしている場合は、受粉失敗だけでなく、病気や蒸れも考えられます。

傷んだ果実を放置するとカビが広がる可能性があるため、清潔なハサミで取り除きましょう。

スイカに実がつかない主な原因

スイカに実がつかないときは、人工授粉の方法だけでなく、肥料、気温、日照、株の状態を確認する必要があります。

主な原因確認するポイント基本的な対処
自然受粉できていない昆虫が少ない朝に人工授粉する
花粉がぬれている雨や朝露花が乾いてから行う
作業時間が遅い昼前に受粉している朝8時頃までに行う
高温・低温花粉が出にくい保温や早朝作業を行う
日照不足つるが細く花が少ない日当たりを改善する
肥料過多葉が濃くつるが太い追肥を止める
株が小さい葉数が少ない株の成長を待つ
水分の過不足土が乾きすぎる、常に湿る土の状態に合わせて調整する

肥料が多いとつるぼけを起こす

スイカは、窒素肥料を多く与えると、つるや葉ばかりが勢いよく伸びることがあります。

この状態は「つるぼけ」と呼ばれ、雌花が咲きにくくなったり、受粉しても実が育ちにくくなったりします。

つるぼけした株には、次のような特徴があります。

  • 葉が大きく濃い緑色
  • つるの先端が太い
  • つるの先が上向きに立ち上がる
  • 節と節の間が長い
  • 株全体が茂っている
  • 雌花や果実が少ない

元肥を十分に入れている場合は、雌花が咲かないからといって追肥を行わないでください。

まず肥料を止め、土が常に湿っている場合は水やりも見直します。

つるを整理して日当たりを確保し、株の勢いが落ち着くのを待ちましょう。

プランター用培養土には、最初から肥料が含まれている商品が多くあります。

植え付け時に培養土へ追加の化成肥料を混ぜると、肥料分が多くなる可能性があります。

使用する培養土の表示を確認してください。

葉やつるが元気に伸びている場合は、肥料不足とは限りません。雌花が少なくても、すぐに液体肥料を追加しないようにしましょう。

日照不足や気温も着果に影響する

スイカは日光と暖かさを好みますが、低温でも極端な高温でも受粉しにくくなります。

開花前に曇りや雨の日が続くと花が小さくなり、雄花の花粉が少なくなる場合があります。

ベランダ栽培では、建物や手すりの影で日照時間が短くなることがあります。

午前中だけ短時間日が当たる場所では、つるが細く伸び、花数や着果が少なくなる可能性があります。

鉢を移動できる場合は、より長く日が当たる場所へ置きましょう。

夜間の低温も花粉の状態に影響します。

春先に植えた苗で雌花が咲いても、朝晩が冷え込む時期は受粉が成立しにくいことがあります。

ホットキャップやトンネルを使う場合は、日中の高温を防ぐために換気してください。

真夏は高温によって花粉の働きが低下することがあります。

日中の気温が高くなる時期は、朝早く人工授粉を行いましょう。

密植によって葉が重なると、株の内側へ日光が届きません。

つるを広げ、健康な葉を残しながら混雑を減らします。

葉を大量に切るのではなく、誘引する方向を変えて、日当たりと風通しを確保してください。

雌花が咲かないときの対処方法

雄花は咲いているのに雌花が見つからない場合は、株の生育段階や肥料の量を確認します。

慌てて追肥せず、つるの状態を観察しましょう。

株が若い時期は雄花が先に咲くことがある

スイカは、栽培の初期に雄花が先に咲くことがあります。

植え付けから日が浅く、つるが短い時期に雄花ばかりでも、しばらく待つと雌花が咲き始める可能性があります。

雌花は、子づるの節に一定の間隔で付くことがあります。

つるが葉の下へ隠れていると見落としやすいため、朝のうちにつるを株元から先端へたどって確認しましょう。

雌花は開花前から根元に丸いふくらみがあるため、翌日に咲きそうな花を見つけられます。

親づるや子づるの先端が元気に伸び、葉色も適度な緑色であれば、すぐに肥料を追加せず生育を待ちます。

株が若いうちに付いた雌花へ無理に着果させても、十分な葉数がなく、実が途中で落ちることがあります。

植え付け直後に根を傷めた場合や、低温が続いた場合は、つるの成長そのものが遅れます。

保温と日当たりを確保し、土が乾いたら水を与えましょう。

常に湿らせておくと根が弱るため、土の表面を確認してから水やりを行います。

つるぼけしている場合は追肥を止める

雌花が咲かず、つると葉だけが勢いよく伸びている場合は、つるぼけの可能性があります。

葉が濃い緑色で大きく、つるの先端が太く立ち上がっているときは、窒素肥料が多すぎることが考えられます。

この場合は、追肥や液体肥料をいったん止めます。

土へ入れた肥料をすぐに取り出すことは難しいため、追加せずに株の勢いが落ち着くのを待ちましょう。

水を多く与え続けると、肥料分を吸収してさらに葉やつるが伸びることがあります。

土の表面が乾いていないのに、毎日水を与えるのは避けてください。

つるが重なっている場合は、残す子づるを決め、株元付近の不要な孫づるを整理します。

ただし、葉を大量に切り取ると株が弱るため、つるの向きを変えて日当たりを改善する方法を優先しましょう。

つるぼけが落ち着き、雌花が咲いたら、朝の人工授粉を行います。

受粉直後に追肥するのではなく、果実が確実に大きくなり始めたことを確認してから、品種に合った量を与えてください。

小さな実が黄色くなって落ちる原因

雌花の下にある小さな実が落ちても、必ずしも病気とは限りません。

受粉が成立しなかった場合や、株が実を維持できない場合に自然に落ちることがあります。

受粉が成立していない可能性がある

人工授粉後の果実が黄色くなり、成長せずに落ちた場合は、花粉が十分に付かなかった可能性があります。

主な原因は次のとおりです。

  • 雄花の花粉が出ていなかった
  • 雌花が雨や朝露でぬれていた
  • 人工授粉を行った時間が遅かった
  • めしべの一部分にしか花粉が付かなかった
  • 受粉後に水がかかった
  • 気温が高すぎた、または低すぎた

人工授粉を行うときは、雄花のおしべへ触れ、黄色い花粉が付くことを確認します。

花粉がほとんど見えない雄花は避け、別の新鮮な雄花を使いましょう。

雌花のめしべ全体へ花粉が付くように、雄花を軽く回しながら当てます。

強く押し付ける必要はありません。

作業後に水やりをする場合は、花へ水がかからないよう、株元だけへ与えてください。

一度失敗しても、次に咲く雌花へ再び人工授粉できます。

落ちた果実へ肥料を与えて回復させることはできないため、傷んだ実を取り除き、次の開花に備えましょう。

株が小さいと実を維持できないことがある

受粉が成立しても、株の葉数や根の張りが不足していると、果実を大きくできずに落とすことがあります。

植え付け直後の小さな株や、病害虫で葉が減った株では、実を育てるための養分が足りません。

株元に近い位置で咲いた雌花は、果実より手前にある葉数が少なくなるため、着果しても大きくなりにくい場合があります。

品種によって適した着果位置が異なるため、苗のラベルや種苗会社の説明を確認してください。

複数の実が同時に大きくなり始めた場合も、株がすべてを維持できず、一部を自然に落とすことがあります。

果実を多く残せば収穫量が増えるとは限りません。

株の大きさや品種に合った数へ調整することが大切です。

葉が害虫に食べられている場合は、葉裏や新芽を確認します。

スイカでは、次のような害虫が見つかることがあります。

  • アブラムシ
  • ハダニ
  • ウリハムシ

害虫が増えると、株の勢いが低下します。

黄色くなった葉や病気の葉だけを取り除き、健康な葉はできるだけ残しましょう。

水切れと過湿の両方にも注意が必要です。

プランターでは土が完全に乾く前に水を与えますが、受け皿へ水をためたままにしないでください。

地植えでは、毎日水を与えるのではなく、天候と土の状態を見ながら判断します。

スイカの人工授粉に関するよくある疑問

雄花が咲いていない場合はどうする?

雌花が咲いた日に雄花が見つからない場合、その雌花へ人工授粉することは難しくなります。

まずは、葉の裏やつるの奥まで確認してください。

雄花は雌花より数が多いものの、葉の下に隠れていることがあります。

近くに同じ種類のスイカを育てている場合は、別の株で当日に咲いた雄花を使用できます。

家庭菜園では、開花時期が重なるように2株以上育てると、雄花を確保しやすくなります。

雌花は受粉に適した時間が短いため、翌日に咲く雄花を待って、前日に咲いた雌花へ受粉させても成功しにくいでしょう。

その雌花にこだわらず、次の雌花が咲く日に備えるほうが確実です。

雄花そのものがほとんど咲かない場合は、株の生育不良、日照不足、低温などを確認してください。

花を増やそうとして、すぐに肥料を追加しないようにしましょう。

受粉後に雨が降った場合はやり直す?

人工授粉を行った直後に雨が降ると、花粉が流れてしまう可能性があります。

ただし、一度付いた花粉がすでに受粉を始めている場合もあるため、その日のうちに成功か失敗かを判断することはできません。

翌日に同じ雌花へ再び花粉を付けても、めしべが受粉に適した状態を過ぎている可能性があります。

無理に花を開いたり、何度もこすったりすると傷めるため、再作業はせず、数日間観察しましょう。

果実が緑色のまま大きくなれば、雨が降っても受粉が成立した可能性があります。

成長が止まり、黄色くなった場合は、その実を取り除き、次の雌花へ人工授粉します。

雨が予想される日は、できるだけ早朝に作業し、鉢植えなら受粉後しばらく雨の当たらない場所へ置きましょう。

筆や綿棒でも人工授粉できる?

筆や綿棒へ雄花の花粉を付け、雌花のめしべへ移す方法もあります。

ただし、花粉が筆や綿棒へ残ったり、道具が湿っていて花粉が付きにくくなったりすることがあります。

初めて人工授粉を行う場合は、雄花を摘み、直接雌花へ当てる方法が簡単です。

同じ株の雄花と雌花でも受粉できる?

同じ株に咲いた雄花と雌花を使って人工授粉できます。

近くに別の株がある場合は、その株の雄花を使うことも可能です。

いずれの場合も、当日に咲いた新鮮な雄花を使用し、花粉が出ていることを確認してください。

人工授粉は毎日行う必要がある?

毎日必ず行う必要はありません。

朝に株を確認し、その日に新しく咲いた雌花がある場合に人工授粉を行います。

雌花の開花期間は短いため、栽培期間中はできるだけ毎朝確認すると、受粉の機会を逃しにくくなります。

人工授粉後は袋をかけたほうがよい?

通常は、人工授粉後に袋をかける必要はありません。

袋で密閉すると、内部が蒸れたり高温になったりする可能性があります。

雨を避ける目的で覆いを使う場合は、花や株を密閉せず、風が通る状態にしてください。

スイカの人工授粉で失敗を減らすチェックリスト

人工授粉をする前に、次の項目を確認しましょう。

  • 当日の朝に咲いた雌花を選んだ
  • 当日の朝に咲いた雄花を用意した
  • 雄花のおしべに黄色い花粉が付いている
  • 雌花や雄花が雨や朝露でぬれていない
  • 朝8時頃までに作業している
  • めしべ全体へ花粉を付けた
  • 花を強くこすっていない
  • 人工授粉後に花へ水をかけていない
  • 受粉日を札やスマートフォンへ記録した
  • 受粉後3~7日ほど成長を観察している

まとめ

スイカは、雄花の花粉が雌花のめしべへ付くことで受粉し、雌花の付け根にある小さなふくらみが果実として育ちます。

雄花は花の付け根が細く、雌花は花の下に小さなスイカのようなふくらみがあるため、付け根を見ると簡単に判別できます。

人工授粉は、当日の朝に咲いた雄花を使い、晴れた日の朝8時頃までに行うのが基本です。雄花の花びらを取り除き、おしべを雌花のめしべ全体へ軽く当てましょう。

受粉が成功すると、果実は緑色を保ちながら数日で大きくなります。成長が止まり、黄色や茶色になって落ちる場合は、受粉が成立しなかった可能性があります。

実がつかないときは、人工授粉の方法だけでなく、日照不足、気温、肥料過多、株の大きさ、水分の状態も確認することが大切です。

一度実が落ちても、株が元気であれば次の雌花が咲きます。原因を確認して栽培環境を整え、次の開花時に早朝の人工授粉を行いましょう。

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